ダブルミーニング赤字白書
週末ということで、購入リストを更新した。
今回からちょっと形式を変更してみた。
これまでテキストのみのリストだったものを、Amazonリンクつきで。
第一には小金かせぎ狙いに決っているが(せっかくアソシエイト審査に通ったのだから活用しない手はない。なりふり構っちゃいられない)、表紙画像があったり、予約中のものは発売日がわかると親切かな、と一考した結果でもある。
しかし、テキストのみの方がすっきりと見やすいようにも思える。
いっそテキストオンリーバージョンとリンクつきバージョに分けるかと苦悩中。
とりあえず今月中は試験的にリンクつきでお送りする。
さて、新たに積まれた本を改めてご紹介。
別のことを調べていたら浮上してきた本。
作家さんたちの誤植っぷりを集めた晒し読本。
読本を文字のままに解するならば、誤植だらけの本なんて読めません。
まして誤植の教科書になんて役に立とうはずがありません。
だが、私はこの手の本が大好きだ。
誤植の責任は厳密には印刷会社か校正者にその所在があるのだろうけれど、どうやらこの本は原稿段階での「誤字」のほうを指すらしい。
そのまま校正刷りに回されて初校作業をしていたらつい笑ってしまうような誤字…なら、誤植か、なるほど。
とにかくも、そういった一種の暴露本。これは期待せざるを得ない。
ところで、経験則でものを言うとこの手の本は意外と病院の売店で発見する率が高い。
以前、身内につきそって二週間ほどとある有名な病院に泊まり込んだことがあるが、そこの売店に置いてある本がどう考えても病人向けではない。
いや、「笑いはガン細胞をも殺す」というのならば正しいチョイスなのかもしれない。
しかし私の身内は既に意識不明のカウントダウン状態だったわけで…うん…表面上、神妙にしてなければいけないのに笑わせてくれるなよと、看護士さんが入ってきた時はうつむいているしかなかった。
たとえば、タイトルは完全に忘れたが、「古今東西の名作を編集者があしらった際の手紙を集めた本」。
この企画を考えついた人も相当なものである。
マーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』には「退屈なくせに長すぎ。送り返すのも面倒」。
この程度はザラで、「前作もひどかったが今作はもっと最悪。二度と送ってくるな」「なんで当方の仕事を増やすのですか。恨みでもあるのですか。そのような性根だからこのような駄作しか書けぬのです」といった編集者の厳しいお言葉がディケンズからトゥエインに至るまで誰彼かまわず降りそそぐ。
ヘミングウェイの『老人と海』を読んで「最大限に伸ばした釣り竿の端っこに引っ掛けても足りないくらい果てしなく遠ざけておきたいクズ文章」とのたまった編集者、あの世で元気にしておいででしょうか。
面白いのに、残念ながらこういった本は聞いたこともないような出版社から出ているせいか、一般の書店では埋もれてしまう、ないし扱われもしないようである。
(それこそ「この本は売れそうにないんで」と営業をつっぱねる書店員のセリフ読本でも出せばいい。買うから)
病院の売店はなかなかの穴場。きっとこの『誤植読本』も、そこで好評を博したに違いない。「増補版」とは、それに味をしめた結果だと信じてやまない。
買う、とリストに入れていたこの本、買ったともさ。
ただし、買おうとした時にちょっと他の買いものを思い出してそちらを見てから戻ったら、「一時的に在庫切れ、入荷時期未定」の表示が。
その間、わずか5分。これはショックである。
手に入らないものほどほしくなるのが人の性というもの。
たとえ手に入ったところで余裕で半年は積むとしても、今ほしいものを今この瞬間に我が所有物としたくなるのが罪人の業というもの。
その両方を兼ね備えたわたくし、一応ヨドバシだの楽天だの紀伊国屋ウェブストアだのhontoだのをさまよった結果(どこも在庫切れ)、「アマゾンでポチっておく」方法で妥協した。
これは初の試みであったが、「在庫切れでも購入状態にしておくと、在庫が入った時に自動的かつ優先的に発送準備が始まる」というシステムらしい。
ただし、一定期間を過ぎても入荷のメドが立たない場合、「諦めてください」の報と共に返金処理が行われる…ようだ。
結果として、3日後に突如として発送メールが届き、無事に本も購入できたため、後半は曖昧である。
が、確か注文段階に入る前にそういった注意書きが示されていたと思う。
「なるほどー、これは便利だ」と深夜の通販番組で感嘆するお兄さんの声が聞こえた気がした。
といった紆余曲折を経て私の積ん読に加わったこの本。
噂どおり、非常に面白そうである。
もう目次からして大変なことになっている。わくわくしてちょっと中を覗き見してみたが、「ロシア人でもこんなに楽しいことが書けるのか」と偏見を改めることになりそうだ。
ロシア人とドイツ人はどうにも深刻なイメージが強い。ただし、ロシア人はウォッカとコサックダンスと米原万里さんと各種バレエマンガのおかげでナチュラルハイな印象もあるが、やっぱり『罪と罰』とか『戦争と平和』が先に頭に浮かぶ。読んだこともないのに。
これもタイトルは失念したが、「ロシア帝国からソビエト連邦に移行した時代を生きた少女の日記」は、なかなか衝撃的だった。
ソビエトになった初期の頃はまだ幼いということもあって「生活が変わるみたい。リボンが買えなくなるのかな」といった素朴な疑問を連ねていたのが、やがて「社会主義は素晴らしい、早く大人になって軍隊に入りイデオロギーに命を捧げたい」となり、実際に入隊してからは「厳しい訓練が続くがこれもすべては祖国のため、人民のため、世界のため。私の使命のため。社会主義、共産主義こそ私の宿命。それに殉じることこそ最上の生命の燃やし方だ」と綴り、「今日、はじめて銃を撃った」「はじめて敵国がどこであるかを知った」「イデオロギー万歳!」と短文つづきになり、ある日ぷつんと「(彼女の日記はここで途切れている)」で終わるのが何ともやるせない。
彼女もこの本にあるロシア料理を食べて育ったのだろうか。
それを知るにはまず『亡命ロシア料理』を読まなければならない。
そういった意味でも、今、もっとも期待値の高い積ん読本の一冊である。
マンガは2冊。
金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(5) (講談社コミックス)
- 作者: 船津紳平,さとうふみや,天樹征丸,金成陽三郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2019/03/15
- メディア: コミック
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金田一は読み終えた。
まかないさんは読んでいる最中。
感想は後日。
さて、今回、私の事情でたいへん重要な購入本といったら、これら。
もう黙っていてもこれで分かってしまうだろうから書くが、現在、校正の勉強をしている。
人生折り返し地点の手習いである。
勉強に際し、どうしても辞書と用語辞典は欠かせないと実感した。
本当は広辞苑がほしいところだが何しろ高いし、場所もとる。語彙は豊富だろうけれど使い勝手はどうかといったら疑問。
いろいろ考えた結果、「岩波国語辞典」に落ち着いた。
もともと辞書はほしかったので嬉しい。それにしても辞書を買うなんて何年ぶりだろうなあ。
用語辞典というものははじめて手にしたと思う。まさに「用語辞典!そういうのもあるのか」状態。
本音を言ってしまうと、よりほしいのは、
こちらなのだが、当面はネット検索で我慢しよう。
「編集校正小辞典」は、実際にはこの画とは異なる。もっとビビッドな黄色のカバーつき。どちらかというと画像の方がいかにも中二らしくて(校正の勉強にその要素はまったくもって不要だとしても)好みなのだが、致し方あるまい。
どれも、中身を眺めているだけで楽しい。辞書類のあの面白みは一体なんなのだろうと、いまだに不思議に思う。
まだ使いこなせていないので、所感も含めレビューらしきものはまた改めて書きたい。
ところで、
「入朱のドリルみたいのないのかな。練習帳とは別に。1日1ページ400字ぐらいで誤植多めのやつあったら助かるなあ」
と思って「赤字ドリル」のワードで検索したところ、
すみません。その赤字じゃないんです。
こういう間違いはどうにもこうにも赤を入れられないから不便ね。
(脳内の検索ワードには入朱可能。訂正線を縦にびーっと引いて囲みつきトルツメ)